ユーロスペース初日、6月30日(土)各回上映前に岩佐寿弥監督、絵描きの下田昌克さんはじめ、『オロ』スタッフが舞台挨拶します。
製作着手から3年、完成した『オロ』にはほんとうにたくさんの人が関わってきました。映像関係、音声関係、音楽、絵とアニメ、チベット語翻訳、字幕制作、宣伝デザイン、宣伝マン、映画館の人びと…。一本の映画は多くの人の才能に支えられています。そして、その映画の中心に監督がいます。岩佐監督は舞台挨拶で映画を共に作ってきたスタッフに感謝し、ひとりひとり紹介したいと言っています。あまり長くならないようにやりましょうね、監督!
残念ながら、音楽を作った大友良英さんは新潟で美術展の準備をしていて舞台挨拶に参加できません。挨拶代わりに読み上げるコメントを頼んだら、昨夜メールがきました。当日も読み上げますが、ひと足先にここで公開しちゃいましょう。
「現在、新潟の水と土芸術祭で、飴屋法水さんたちとともに
展示作品を作っている最中で、残念ですが、会場に伺えません。
もともとチベットに縁のなかったわたしが、この作品の音楽を
受けることになったのは、なによりも
音楽がつく前のオロの映像を見て、
これは単にチベットの問題を描いているのではなく
もっと普遍的な、自分自身にもシンクロしてくるような
人間が生きていくということを描いているんだなということと、
谷川さんがおっしゃてたように
どんな大きな問題や事件でも、実際にニュースになるような
決定的な瞬間とは別に、渦中の人々にとっては、その後も
長くつづく日常の問題としてそれはあらわれてくるんだという
ことを、自分自身も身をもって知る中で、
ひとつひとつの事象に丁寧に向き合う監督やスタッフの姿勢に
打たれた・・・というのが大きな理由です。
それにしても、彼はどんな大人になり、どんな人生を歩んでいくのかな。
そのとき、世界はどんな風になっているんだろうか。
新潟の地で、作品をつくりながらふとそんなことを考えてます。」
2012年6月27日 大友良英