第7回UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)難民映画祭で『オロ』は2回上映された。10月1日(月)明治大学和泉キャンパス図書館ホール、10月6日(土)セルバンテス文化センター東京。両会場ともに満員。セルバンテス文化センターでは155席の会場に200名以上が詰めかけ、数十名の方々にはやむを得ず入場を断念していただくという状況になった。
両会場で行われた岩佐寿弥監督のティーチ・インは好評を博した。映画上映前の挨拶で「難民映画祭の使命は上映される映画を通じて難民の現状を知ってもらい、ひとりひとりに“自分に何ができるか”を考えはじめてもらうこと」だと、UNHCR駐日代表のヨハン・セルスさんは語った。
映画上映後、『オロ』を見た観客に対して岩佐監督はこう語りかけた。「2008年の北京オリンピック前にチベット騒乱があり、中国当局の一方的な弾圧に対して日本でもチベット支援の機運が急速に高まりました。しかし、残念ながらその熱気は長くは続きませんでした。2008年夏に開かれたあるシンポジウムで、観衆から〈チベット人に対して、いま自分に何ができるか〉と問われた在日チベット人女性の言葉が強く印象に残っています。彼女はこう答えました。〈できることなら、ますチベット人を好きになってください。そして、チベットのことを知ってください。それから、ゆっくり自分のできることを考えてください〉と。チベット難民は1959年から半世紀以上難民生活を送っています。慌てることはありません。『オロ』はチベット人を好きになってほしいと願って作りました。まずチベット人を好きになってください」。