映画・テレビの撮影監督・カメラマンの協会である日本撮影監督協会の賞を『オロ』の津村和比古カメラマンが受賞しました。
津村さんが受賞したのは、劇場用映画以外の文化、短編、記録、テレビ、ドキュメンタリー、PR、大型映像等で、豊かな感性と技術成果をあげた撮影監督を候補に社会的貢献度や業績をもとに受賞者を選定、顕彰する日本撮影監督協会賞。略してJ.S.C賞。この賞は1992年に制定されました。日本撮影監督協会にはもうひとつ「三浦賞」という賞があります。これは1956年に制定され、名撮影監督であった故三浦光雄氏(1902-1956)の優れた功績を記念すると共に、同氏が新人育成に注がれた情熱を継承して、毎年優れた撮影技術を示した劇場用映画の新人撮影監督を顕彰するために設けられた賞です。
2012年度のJ.S.C賞は『オロ』の津村和比古さん、三浦賞は『終の信託』の寺田緑郎さん。1月7日に開催された授賞式に『オロ』組は津村さんと岩佐寿弥監督、代島治彦プロデューサーが参加。一方、『終の信託』組は寺田さんと周防正行監督、主演女優の草刈民代さんがご夫妻で参加。ドキュメンタリーよりも劇映画の方が華があるんです、やっぱり。授賞式が済み、津村さんの挨拶も終わり、さて次の式次第へという場面で司会者が会場にいた津村さんの奥さんとお嬢さん夫妻を壇上へ招聘。この奥さんとお嬢さん夫妻、特にお嬢さんのお婿さんのひと言が会場を、そして津村さん自身を感動させました。実はお嬢さん夫妻は昨年10月に結婚したばかりの新婚ホヤホヤ。お婿さん「こんなすばらしいお父さんを持てたぼくは幸せ者です」。津村さんのお婿さんの挨拶は会場全体に漂っていた緊張感をイッキに脱力させたのでした。
2012年度のJ.S.C賞は、15人の審査員がノミネート7作品から選考。津村さんを選考した理由は「厳しい撮影条件でありながらフィックスを主体に自然光を生かした落ち着きのある絵作りで、それらが作品の意図に合っている。主人公オロをはじめチベット難民の内面の深い悲しみを的確な距離感でとらえている点が高く評価された」ということです。授賞式の後のパーティーで、少しお酒が入った津村さんは「カメラマンによるカメラマンのための賞に選ばれたことがほんとうにうれしいです」と話していました。